2013/01/28

書を芸術にした男 東京国立博物館 特別展「書聖 王羲之」



アヒオ「ブログを見ているみんな、こんにちは!

今日は、今、上野の東京国立博物館でやっている、


日中国交正常化40周年、東京国立博物館140周年記念の特別展「書聖 王羲之の話題だよ」

アヒコ「そういえば確かに去年、日中国交正常化40周年記念だったわね。そういえば。


よりによって、そんな年に日中関係が大変なことにならなくてもねえ」

アヒオ「うん、全く間が悪いとしかいいようがなかったよ。で、今回の王羲之展なんだけれど、日本人でも学校で書道を習った人ならだれでも一度はその字を見たことがあるぐらいの有名な書家だ。


後の書家はみな王羲之の書を手本にしてたぐらいで、その後世に与えた影響の大きさから「書聖」とさえ呼ばれている存在なんだ」

アヒコ「へええ。王羲之(おうぎし)って書家なんだ。書道の時間かあ。あんまり覚えていないわねえ。いつぐらいの時代の人なの?」

アヒオ「アヒコちゃんだって書道の時間に、絶対見ているはずだよ。

彼の代表作「蘭亭序(らんていじょ)」ぐらいは教科書のどこかに書いてあったのを覚えていないかなあ。まあ、いいや。

王羲之は生没年が307~365年で、中国の東晋時代の人なんだ。東晋っていうとおおざっぱにいって三国志の時代の後、隋の時代の前ぐらいの時代だね。

出身は山東省。琅邪(ろうや)というところで、琅邪の王氏といえば、当時の名門貴族で、彼は漢や魏以来の諸家の書を集大成して、芸術にまで高めた人なんだ」

アヒコ「蘭亭序、蘭亭序・・・。なんか聞いたことあるようなないような。でもまあ、その王羲之って人が書いた書が今回展示されているってことなのね?」

アヒオ「いや、実は厳密にはそうではないんだ。

実は王羲之が実際に書いた書そのもの(真蹟)は、戦乱などで失われて現在、存在していないんだ。だから、今、王羲之の書として伝わっているのは全て唐代以降に複写したものや、石版や木版に模刻して制作した拓本なんだよ」

アヒコ「え?そうなんだ!じゃあ今回の展示品は全部コピーってことなの?

本物はもうこの世には残っていないのね・・・」

アヒオ「残念ながらそうなんだ。でも王羲之の書は幸いとても人気があって、複写や拓本がたくさん残っているから、ボクらでもこうして見ることができるんだよ。

特に唐の高宗の思い入れは半端じゃなくて、自分が死んだ時に副葬品として王羲之の「蘭亭序」を一緒に埋葬させたぐらいなんだ。

彼は熱心に王羲之の書を蒐集して、模本を作らせたんだけれど、このできがとても良くてね。なんと、後世の虫食いの後まで再現しているぐらい精巧なんだ。

だから、これを見れば王羲之の書の本物がどんなものだったか、現代でもほぼ完全にわかるんだよ。

でもそこまでハイレベルな模本はさすがに数が少なくて、現在は10点程度しか残っていないんだ。だから今回の展覧会ではとても貴重なものが見られるんだ」

アヒコ「へええ。書って中国ではそんなに重視されていたのね。西洋とは全然違う文化よね」

アヒオ「そうだね。西洋にもカリグラフィーっていうのはあるけれど、文化的、社会的、芸術的重要度でいうと、中国の「書」の重要性は西洋の比じゃないだろうね。

中国では「詩・書・画・篆刻(てんこく。印章を掘ること)」の4つの芸術を「文人四芸」と言うんだけれど、なかでも「書」はその基本となるものだからね。

それに、現実問題として、科挙では王羲之の技法で書かなければ答えが合っていても合格にならなかったりしたから、知識人や官僚になりたい人は、好むと好まざるとにかかわらず、みんな王羲之の書を学ばざるをえなかったっていう事情もあったんだ」

アヒコ「字が汚いと試験にも合格できないの!?

字を書くのが下手な人は大変ね。

書道が中国で重視されたのも納得だわ」



アヒオ「ちなみに中国では「書道」ではなくて「書法」って言うんだけどね。なんでも「道」にしてしまうのはいかにも日本らしいね。

それはともかく、今回の展示だけれど、王羲之だけではなくて、歴代の有名な書家の字や、漢字や書体の歴史的変遷なんかも展示してあるんで、あまり難しいことを考えずに、気軽にいろんな書体の美しさを楽しめばいいんじゃないかな。

今風に言うといろんなフォントがあって、しかも漢字自体膨大な種類あるから、いろんな字体が見られて面白いよ。

それからこのサイトにとって重要なことがもう一つ。

ボクも今回の特別展へ行って初めて知ったんだけれど、王羲之って実は重度のガチョウマニアだったんだよ」

アヒコ「ガ、ガチョウ!?

アヒルじゃなくてガチョウなの!?」

アヒオ「うん。実は王羲之はガチョウが大好きで、自分でもたくさん飼っていたんだ。

その他にも、彼とガチョウに関するエピソードは文献にいろいろ残っているんだ。

例えばこんなの。


ある老婦人が飼っている鵞鳥が、とても良い鳴き声をしていると評判だったので、王羲之はそれを大金で買い取ろうとしたんだけれど、老婦人に断られてしまったんだ。

そこで、彼は親類と友人を連れてその声を聴きに行こうとした。でも老婦人は彼らがやってくると聞いて、彼らをもてなそうとわざわざその鵞鳥を料理してふるまったんだ。王羲之はがっかりしちゃって、長い間嘆き続けたんだって。



ガチョウ。上海にて撮影


アヒコ「ガチョウの鳴き声にこだわるなんて、王羲之なかなか通ね・・・。

そうなのね。アヒルじゃないのが残念だけれど、これを聞いたらガチョオくんもきっと喜ぶわね。

私も王羲之に急に親近感が湧いてきたわ」

アヒオ「そうだね。

ガチョウ好きに悪い人なし、だ。

この特別展「書聖 王羲之」は3/3(日)までやっているから、まだ時間があるので興味がある人はぜひ一度観に行ってみたらどうかな。


それじゃあ、今日はこのへんで」

二羽「それじゃあみんな、またね〜」


To Be Continued...






<キャスト>

アヒオ・・・アヒル系男子。好きなチームはセレッソ大阪。

アヒコ・・・アヒル系女子。真面目で好奇心旺盛な女の子。好きなスイーツは牛乳プリン。

ガチョオ・・・ガチョウ系男子。好きなチームはガンバ大阪。

白鳥(しらとり)先生・・・スワン系アラサー女子。カモ文化学園の教師。独身。学園のマドンナ的存在で、密かに思いを寄せる男子生徒多数。好きな話題はシモネタ。好きな牛丼系チェーン店は松屋。

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